カシコレラ・ミュージック

カシコレラ・ライヴをカシコレラ・ミュージックと改称し、音楽に関する気ままな投稿場所とします(2023年4月10日より)。

04. 為して然るべき行動をすることを決意したRosa Parksを称えた曲? Lounge Lizards - Tango #3,Determination for Rosa Parks


Lounge Lizards - Tango #3,Determination for Rosa Parks

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ジョン・ルーリー率いるラウンジ・リザーズのこの歌詞のない器楽曲はローザ・パークスという女性を題材にしている。

ローザ・パークス公民権運動の高揚のきっかけとなる行動をした女性で、「公民権運動の母」と呼ばれることもある人物だ。
1955年12月1日、彼女は、座席を白人に譲ることを命じたバス運転手の指示を拒否。
これが公民権運動の高揚のきっかけとなったのだ(ローザ・パークス公民権運動については後半部分を参照下さい)。

アメリカ「合州国」(Unite States of America)における公民権運動と言えば、多くの人はキング牧師を想起するだろう。
しかし、公民権運動を「自分事として」学ぶためには、なぜ、どのような心理で、ローザ・パークスは、そのようなことを行ったのか、具体的に考えることから始めるのが適切だと思う(また、マルコムXらの運動についても学ぶ必要があるとも思う)。

この曲は歌詞のない器楽曲であるし、リーダーのジャン・ルーリーがどのような思想の持主なのかも知らないのだが、この曲の題名が単にRosa Parksではなく、Determination for Rosa Parkであることが重要な気がする。
ローザ・パークスは、為して然るべき行動をすることを決意したのだ。
それには勇気が必要だが、それは特別なことではなく、行おうと思えば、誰にでもできるし、誰にもその権利が認められた行動なのだ。
実際、彼女以前にも同様の行為をした黒人はいた。彼女は威厳を持って理性的に行っただけなのだ。

忌野清志郎は、反原発の歌を歌い、それを妨害する行為に抵抗した。日本では彼の行為は特別視される傾向にあるが、彼は自分の理性と感情に素直に従っただけでそれらの行為自体は特別なことではないと考えることもできる。
問題は、「多くの人には、なぜ、そのような行為ができないのか」というところにあるのだと思う。
https://kasikorera2017.hatenablog.com/entry/2021/03/10/224521

 

ちなみに、ラウンジ・リザーズのライブに行ったことがある。
リーダーのジョン・ルーリーがジム・ジャームッシュ監督の映画「ストレンジャー・ザン・パラダイス 」や「ダウン・バイ・ロー」に出演していて興味があったからだ。

会場は新宿・歌舞伎町の少々怪しげな雰囲気のダンスホールだった。
19:00開演の予定なのに、何のアナウンスもなく、開始は21:00頃だった記憶がある。
ライブはこんな感じで大満足だった。

Lounge Lizards live 1989

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ローザ・パークス公民権運動〉についてまとめておく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B9




1955年12月1日、アラバマ州モントゴメリー。
仕事を終え、バスで帰宅の途についたローザは、空いている席に座った。バス後方に指定されていた黒人座席の最前列だった。
次第に乗車して来る白人が増え、座れない白人も出て来た。
そこで運転手は、白人に席を譲らせるため、慣例通り、黒人席に座っていた最前列の4人に立つように命じた。
他の3人は席を空けたがローザは立たなかった。
その際、次のようなやりとりがあったそうだ。

運転手:なぜ立たないのか?
ローザ:立ちません。
運転手:よろしい。立たないんなら警察を呼んで逮捕させるぞ。
ローザ:どうぞ、そうなさい。

1992年に出版された『My Story(『ローザ・パークス自伝』)において、彼女は次のように述懐しているそうだ。
「屈服させられることに我慢できなかった」から席を立たなかった。
人間としての誇りを侵害されたため席を立たなかったと。

乗客の証言によれば、ローザは終始、静かで威厳に満ちた毅然たる態度だったという。

運転手は警察に通報し、ローザは市の条例違反で逮捕された。
警官に対して、彼女は「どうして私が連行されるのか」と質問し、警官は「知るもんか。でも法は法だからな」と返答したという。
警察署での手続き後、彼女は、市の拘置所に入れられたが、即日保釈され、やがて簡易裁判所で罰金刑を宣告された。

ローザ逮捕の知らせが伝わると、モンゴメリーの教会の牧師に着任したばかりのマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(当時26才)らがモンゴメリーのすべての黒人にバス・ボイコット運動を呼びかけた。

貧しい黒人にとってバスは必須の交通機関であったが、黒人たちはバスを利用せず、車に同乗したり、どこへ行くにも歩いたりした。
利用者の75%以上は黒人だったため、バスを運営するモンゴメリー市は経済的に大きな打撃を被った。

一方、ローザは市条例違反の判決に対し、バス車内の人種分離の条例は違憲であるとして控訴した。
1956年11月、連邦最高裁判所は市条例は違憲であるとの判決を出し、公共交通機関における人種差別は禁止された。
381日間続いたボイコット運動は、最高裁違憲判決の翌日に収束した。

この勝利をきっかけに公民権運動は全米に広がりを見せ、ついには1964年、人種差別を禁止する法律、公民権法が成立することになる。

2005年10月24日、ローザは、デトロイトの自宅にて老衰で死去する(享年92歳)。
ローザ死後、デトロイトでは、ローザを追悼するミュージシャンらのコンサートが相次いだ。

例えば、U2はローザの死の翌日の公演で彼女を追悼し、「Pride (In The Name Of Love)」と「Where the Streets Have No Name」を演奏したそうだ。

U2 - Pride (In The Name Of Love) (Live)
https://www.youtube.com/watch?v=49ND7S3F9Ps

U2 - Where The Streets Have No Name (Live In Paris 2015)
https://www.youtube.com/watch?v=O3CLBIL1J7o

なお、ピート・シーガーは、同時代にRosa Parksのこの行為を歌った。

 Pete Seeger - If You Miss Me At the Back of the Bus

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(おまけ)

キャスリン・ハリガン, サラ・ウォルシュ
『世界のすごい女子伝記 未来への扉をひらいた、歴史にのこる50人』(2020年)
https://mi-mollet.com/articles/-/26792?layout=b

今を生きる子どもたちへおくる、ジャンヌ・ダルクからマララ・ユスフザイまで、時代を越えて人々に勇気と希望をもたらす女性たち50人の新しい伝記絵本。一人1見開き展開のオールカラーページで、心に残るお話が気鋭の英国人イラストレーターによる美しい挿絵で彩られ、楽しく読み進められる一冊。

エリザベス1世/ジャンヌ・ダルク/インディラ・ガンディー/テレサ・カチェンダモト/武則天/ハリエット・タブマン/ボウディッカハトシェプスト/イサベル1世/サカジャウィア
フリーダ・カーロ/ビアトリクス・ポター/ココ・シャネル/ビリー・ホリデイ/アンナ・パヴロワ/ミーラー・バーイー/マヤ・アンジェロウ/ジョージア・オキーフ/エミリー・ブロンテ/サラ・ベルナール
フローレンス・ナイチンゲール/ヘレン・ケラー/アン・サリバン/メアリー・シーコール/シーリーン・エバーディー/マリア・モンテッソーリ/マザー・テレサ/ワンガリ・マータイ/エリザベス・ブラックウェル/エバ・ペロン
マリー・キュリー/レイチェル・カーソン/エイダ・ラヴレス/ヒュパティア/ロザリンド・フランクリン/メアリー・アニング/キャサリン・ジョンソン/ドロシー・ホジキン/ダイアン・フォッシー/ワレンチナ・テレシコワ/マララ・ユスフザイ/リゴベルタ・メンチュウ/アメリア・イアハート/ハンナ・セネシュ/ローザ・パークス/ヌーア・イナヤット・カーン/エメリン・パンクハースト/キャシー・フリーマン/田部井淳子/アンネ・フランク